工具図鑑

測る サイズリング / スケール / ノギス / ディバイダ / カニコンパス / 秤
切る 糸鋸・鋸刃 / 金バサミ / ニッパー / ペンチ / 喰い切り    
削る ヤスリ / 紙ヤスリ / リューター / リューターポイント / グラインダー    
穴をあける ドリル刃 / ピンバイス / ハンドドリル / ボール盤
打つ・延ばす 槌 / 芯金 / 金床 / タガネ / 刻印 / ロール / 線引板 / ヤニ台
挟む ヤットコ / ピンセット / すり板 / 万力 / 手万力 / 第三の手
付ける ブローパイプ / コンプレッサー / 耐火レンガ / フラックス / 銀ロウ / からげ線 / 希硫酸
仕上げ キサゲ / ヘラ / 紙ヤスリ / 研磨剤 / リューターポイント / バレル研磨器 / バフモーター / 超音波洗浄器 


 ロウ 

 ロウといっても蝋燭のロウではありません。れっきとした金属です。接着剤の役割をする金属で、はんだの一種です。
溶融温度が450℃未満をはんだ(軟ロウ)といい、450℃以上をロウ(硬ロウ)と言います。

ロウには金ロウ、銀ロウ、ホワイトロウ、Pロウ等があり、ロウ付けする母材によって使い分けます。
形も、板や、線、粉、クリーム状など、様々です。
また、各ロウ材には融点の異なるロウがあり、作業工程によって使い分けます。
複数回のロウ付けを行う場合、既にロウ付けした箇所のロウが熔けないように融点の高いロウから使用します。

※ろう付とは、金属を熱で熔かして接合物の間隙部に流し込み、ろうと接合母材の相互拡散作用によって接合する技術。

 銀ロウ ・・・銀ろう、銀ロー、Silver Solder

銀ろう 2分ろう S (板ろう) 銀ろう 3分ろう S (板ろう) 銀ろう 5分ろう S (板ろう) 銀ろう 7分ろう S (板ろう) 銀ろう 9分ろう S (板ろう) 銀ろう 早ろう S (板ろう)
銀ろう 
2分ろう
銀ろう 
3分ろう
銀ろう 
5分ろう
銀ろう 
7分ろう
銀ろう 
9分ろう
銀ろう 
早ろう
作業温度 銀含有量 銀ロウとは?
 銀ロウは純銀に真鍮(銅+亜鉛)を足したものです。
一般的な板状の銀ロウには左の図にあるように、融点の高い順から、2分ロウ、3分ロウ、5分ロウ、9分ロウ、7分ロウ、早ロウとあります。○分の意味は銀10に加えた割金(真鍮)の量を表します。例えば、3分ロウは純銀10+割金3、と言う意味。全体13のうち10が銀で、3が割金なので、3分ロウの銀の含有量は約76.9%となります。割金が増えるほど色味が黄味がかり、強度が弱くなりますが、ロウ付け作業は容易になります。

 左表はコモキンの銀ロウです。メーカーによって微妙に銀含有量や、作業温度が異なりますのでデータを確認しましょう。ま、そこまでしなくても同じメーカーの3分・5分・7分・早ロウがあれば大丈夫。

 揃える順番としては、5分、7分、早、3分の順がいいでしょう。5分ロウはロウ付け作業の基本です。複数回ロウ付け作業を繰り返す場合に5分ロウ→7分ロウ→早ロウと使って、ロウ付け作業に慣れたら3分ロウを使ってみましょう。
2分ロウ 820℃ 80%
3分ロウ 780℃ 77%
5分ロウ 750℃ 70%
7分ロウ 720℃ 60%
9分ロウ 730℃ 50%
早ロウ 620度 50%
※コモキンの銀ロウ配合
2分ロウはいつ使う?  2分ロウは融点が高く、流れにくいので通常のロウ付けには向きません。やっとロウが流れたら、地金も熔けた・・・ナンテコトもあるのです。
 数値で説明すると、純銀の融点は961.93℃ですが、実際に彫金で使うsilver950の融点は約930℃、熔け始める温度は約850℃。2分ロウの作業温度が820℃なので、+30℃で地金が熔け始めます。
 じゃあ、何に使うのか?それは主に有線七宝の銀線のロウ付けに使われます。釉薬を焼き付けるため釉薬が溶ける温度よりも高温のロウを使用する必要があるからです。

9分ロウの怪  融点の高い順から、2分ロウ、3分ロウ、5分ロウ、9分ロウ、7分ロウ、早ロウ・・・7と9が逆じゃないの???間違いではありません。
9分ロウは何故か7分ロウより融点が高い。「9分ロウは早ロウのように黄色く、7分ロウより融けにくい。」9分ロウ自体、存在の意味が無い。な〜ぜ〜じゃ〜。(゚Д゚) と、いうことでコモキンさんに聞いてみました。

 「9分ロウは、真鍮のロウ付け用に職人さんが使っていたロウなので黄味がかっていた方が都合がよかった。ということらしい。」とのこと。

 シルバーで彫金をするなら9分ロウはいらないことが判明。あーすっきり。(他にも何軒か聞きましたが解らないとの回答。そうか、皆知らなかったんだ。)・・・じゃ、ナンデ未だに売っているのか? 不明である。 あ〜、やっぱモヤモヤ・・・。 ご存知の方教えて下さい。m(_ _)m

銀ろうの成分 銀ロウは銀(Ag)・銅(Cu)・亜鉛(Zn)の合金です。カドミウム(Cd)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、リチウム(Li)が加えられたものもあります。
割金の成分比は、およそ
 2分ろう 銅:亜鉛=2:1
 3分ろう 銅:亜鉛=1.7:1
 5分ろう 銅:亜鉛=1.3:1
 7分ろう 銅:亜鉛=1:1 です。
早ろうは、銅と亜鉛の他に錫やカドミウム・マンガン等も入っているらしい。
らしい・・・と言うのは、配合は企業秘密で教えてもらえないので。
JIS規格の銀ロウの成分表も参考までにどうぞ。