工具図鑑

測る サイズリング / スケール / ノギス / ディバイダ / カニコンパス / 秤
切る 糸鋸・鋸刃 / 金バサミ / ニッパー / ペンチ / 喰い切り    
削る ヤスリ / 紙ヤスリ / リューター / リューターポイント / グラインダー    
穴をあける ドリル刃 / ピンバイス / ハンドドリル / ボール盤
打つ・延ばす 槌 / 芯金 / 金床 / タガネ / 刻印 / ロール / 線引板 / ヤニ台
挟む ヤットコ / ピンセット / すり板 / 万力 / 手万力 / 第三の手
付ける ブローパイプ / コンプレッサー / 耐火レンガ / フラックス / 銀ロウ / からげ線 / 希硫酸
仕上げ キサゲ / ヘラ / 紙ヤスリ / 研磨剤 / リューターポイント / バレル研磨器 / バフモーター / 超音波洗浄器 


■糸鋸(いとのこ)■

 糸鋸は彫金、ジュエリー製作には使用頻度が高く、欠かせない道具の一つです。 板地金を切る場合、1mm厚ぐらいまででしたら金バサミでも切れますが、糸のこの場合は、切り口が歪まないので使い分けると作業がスムーズです。

■糸鋸フレームの種類■

 フレームには固定型自在型があります。
 固定型は、構造が単純で鋸刃の上下を挟むネジが2つあるだけです。
 自在型は、鋸刃の上下を挟むネジが2つと、フレームの長さが調整できるネジが1つ付いています。フレームの長さが調整できるので折れた鋸刃も取付けることが可能です。そのほか自在型にはテンションを掛けるための4つ目のネジが付いているものもあります。 自在型で4つネジのフレームは押し付ける場所が無くても鋸刃が張れる優れものですが、少々重いのが難点です。固定型は鋸刃の取付けには少々力が要りますが、とても軽く取り回しが楽です
 どれも、一長一短なのでお好みで選びましょう。ちなみに私は穴タイプの固定型が好きです。とっても軽い上、鋸刃の挟み口が穴になってるので取り付けが楽です。 ざっくざっく切る時はやっぱり軽いものがいいですねぇ。^^
 それと、懐の深さもいくつか種類があります。懐の深いものは長い地金を切る場合必要になってきますが、深い分フレームの重さがあります。初めに買うフレームは70mm〜100mmぐらいの深さがあれば十分です。透かしのブレスレットを作る時などに深いフレームが必要になりますので、必要になった時にまた買い足すようにしましょう。


★糸鋸フレーム★
バローベ
糸鋸フレーム
(固定/深さ:70mm
バローベ
糸鋸フレーム
(自在/深さ:65mm
バローベ
糸鋸フレーム
(自在深さ:95mm
スイス製
糸鋸フレーム

■鋸刃の種類■

番数 刃厚
mm
刃高
mm
歯数
/cm






6 0.44 0.96 12
5 0.40 0.85 13
4 0.38 0.80 14
3 0.36 0.76 15
2 0.34 0.71 17
1 0.30 0.60 19
0 0.28 0.56 20
2/0 0.26 0.52 21
3/0 0.24 0.48 23
4/0 0.22 0.44 25
5/0 0.20 0.40 26.5
6/0 0.18 0.36 28


 鋸刃は、目が細かいものから、6/0、5/0、4/0、3/0、2/0、0、1、2、3、4、5、6という順に番数があります。(※左表の数値はメーカーによって前後する場合有。)

 細かい細工をする場合や、高額な地金の場合は細かい目の鋸刃を使い、そうでない場合や、厚い板を切る場合には粗い目の鋸刃を使います。一般的にシルバーの地金の場合は2/0、3/0を使います。
 
 リングをロウ付け面の擦り合わせで鋸刃を通す時に合わせ目の状態によって番数を使い分けたりします。例えば合わせ目がほぼ合っている場合は細かい目で、そうでない時は大きな目の鋸刃で、というように使い分けます。


★バローベ糸鋸刃★

NO.0

NO.1

NO.2/0

NO.3/0

NO.4/0

NO.5/0

NO.6/0
★ヘラクレス糸鋸刃★

NO.0

NO.2/0

NO.3/0

NO.4/0

NO.5/0

NO.6/0
 

■鋸刃の張り方■

固定型
 まず、一方のネジに鋸刃を固定します。次にもう一方のネジに鋸刃を挟みつつ、フレームをネジ同士が近づくように歪ませた状態でネジを締めて固定します。手を離すとフレームが元に戻ろうとする力で鋸刃がピンと張ります。

自在型
 一番上の鋸刃の「張力調節ネジ」を下げておきます。上下の鋸刃の固定ネジに鋸刃を固定し、フレーム調節ネジで鋸刃が真っ直ぐに張った状態にします。「張力調節ネジ」を少しずつ締めて鋸刃をピンと張った状態にします。このとき鋸刃の張りが強すぎても弱すぎても鋸刃の折れる原因になります。鋸刃をはずす場合はまず「張力調節ネジ」をゆるめてからはずすと楽ですし、次に鋸刃を取り付けるときにも便利です。

■糸鋸の使い方■

 引き切りで地金を切る場合は、鋸刃がすり板のV字の中にくるように地金を押さえます。最初に鋸刃を入れるときは地金に対して斜めに鋸刃を構えて鋸刃の背を指で軽く押さえて鋸刃を2−3回上にスライドさせます。鋸刃を上下に動かしながら徐々に角度を垂直にして切っていきます。 (慣れるまでは三角の精密やすりで切込みを入れても良い。) 鋸刃の角度は基本的に地金に対して垂直です。曲線を切る場合、糸鋸を斜めにして切っていると刃が折れる原因になります。また、透かし模様などの細かい切抜きをする場合、模様の表は綺麗に切れたようでも裏はまったく違う形になります。直線を切る場合は斜めにしても問題はありませんが、普段から垂直に切ることに慣れておくと良いでしょう。

切り方のコツは力を入れないことです。グリップを手のひらでギュッと握らずに指で軽く握ります。地金に鋸刃を垂直に軽く当ててそのまま真下にフレームを落とすようにします。上げるときは地金に圧力を加えないように上にスッと軽く抜くようにします。フレームを上げるときに力を入れると、地金が浮き上がって、地金を押さえる力が必要になります。また、糸鋸は垂直に上下させることが重要です。ひじや肩を支点にして腕を動かすと、円弧運動になってしまうので鋸刃がブレて折れる原因となります。鋸刃がブレないように垂直に動かせるようになると、ほとんど力を入れずにサクサクと切れるようになります。「力を入れなければ切れない」というのはどこかに力が入りすぎている証拠です。

 曲線を切る時は糸鋸を回さずに地金を少しずつ回していきます。鋸刃を方向転換するときは鋸刃を「その場で足踏み」するように軽く動かしながら、地金を目的の角度まで少しずつ回転さます。

「地金を切っている途中で刃が動かなくなった!」という場合が多々あります。これは鋸刃の角度が今まで切っていた角度と違うからです。グリップを持ち替えたり、ちょっと休んだりして角度が変わったことが原因です。一度地金を持つ手を離してすり板の上で地金をトントンと遊ばせると刃が動きます。

 鋸刃のすべりが悪いときはパラフィンワックスや、ろうそくの蝋またはオイル等を鋸刃の裏側に付けると切りやすくなります。刃物専用のワックスで「カットルブ」という商品があります。これはオススメです。ワックスや蝋よりもサラサラしているのでとてもスムーズに切れます。刃に直接付けて使います。刃の持ちも良くなるそうです。